3月末決算会社の決算発表が進んでいます。
何回かに分けて、気が付いた銘柄について分析していきます。今回は、その2回目です。
★日本特殊陶業(5334)
4月28日に発表した22年3月期の業績結果は、
売上収益4917億3300万円(前期比15.0%増)、
税引前利益836億4200万円(同60.8%増)。
主力の自動車業界における新車販売は、車載向け半導体をはじめとする部材の供給不足が車両生産活動の制約となりつつも、各国の経済活動の立ち直りにより需要は堅調に推移し、また、半導体製造装置業界においては、5G(第5世代移動通信システム)の普及やテレワークの定着、データセンター向け投資の活発化等による世界的な半導体需要の拡大を背景として設備投資が堅調に推移する模様。
続く23年3月期は、
売上高5705億円(前期比16.0%増)、
税引前利益978億円(同16.9%増)と、2ケタの増収・増益を見込んでいる。
同社の投資指標(2022/5/2 終値ベース)を見ると
予想PER 6.7倍
実績PBR 0.91倍
予想配当利回り 6.00%
予想ROE 13.63%
実績自己資本比率 62.5%
PERは1桁、PBRも1倍割れと異様に安いと思われる。
5月2日の株価は前営業日比307円高の2306円まで値を上げ、2月10日に付けた年初来高値2246円を更新。
★5月2日公表の会社発表の資料を見てみる
【会社発表資料は
【2022年3月期】本決算説明会プレゼン(日本特殊陶業) (xj-storage.jp)
より見ることができる】
- 決算ポイントでは
貴⾦属価格の⾼騰により、利益を押し下げるも、価格転嫁を実⾏。 - 今期の通期計画では、
⾃動⾞関連事業は半導体不⾜からの回復により、新⾞組付け⽤製品の売上が回復。
ロシア・ウクライナ情勢の影響により、貴⾦属価格やエネルギー価格、輸送コストの上昇を見込んでいるようです。
- 前期の実現営業利益分析では
為替差益が20億円のプラス要因
ウクライナ情勢による引当、輸送コスト、燃料価格上昇コストにより、それぞれ15億円、7億円、14億円のマイナス要因だった。
- 販売価格では値上げ交渉など強気の構えを見せているが、それだけ自社の技術に自信があるのだろう
- 今期の通期計画では強気の見通し。まだ規模的には小さいものの新規事業もほぼ倍の売上見通しを掲げている。なにより、EVの普及で自動車用プラグなど衰退化かと思っていたが、存外に需要は旺盛のようだ。
- 営業利益では、
自動車関連で743億円⇒940億円 理由は「センサの売上数量が8%伸びると予想」
セラミック関連で61億円⇒152億円 理由は「半導体製造装置部品の売上増加により増益」としている。
また新規事業は136億円の赤字から130億円の黒字転換を予想。
営業利益増減内訳では
製品値上げで 51億円のプラス
設計変更で 20億円のプラス
材料価格高騰で 38億円のマイナス
エネルギー価格高騰で 27億円のマイナス
輸送コスト上昇で 42億円のマイナス
為替差益で 200億円のプラス
などとして全体で対前年比で308億円のプラスを見込んでいる
何より「原材料高騰に対応した値上げを行う」と謳っていることに会社側の強気な姿勢を見て取れる。
週足チャートを見ると、2月10日に付けた年初来高値を更新し、MACDもGCしてきた。継続監視銘柄に入れておいて損はなさそう。