賃金水準から見た投資のチャンスの有無(2)
前回からの続きだが、再度「生涯給料トップ500社」を載せておく。
前回のブログはこちら。
この「生涯給料トップ500社」のなかからトップ30社をざっと見て思うのは、M&A関連企業、不動産会社、戦略コンサルティング会社、商社、その他にグループ分けが出来そうだ、という事。
もう少し深く探ってみたいので、過去10年間の各企業のROEの平均値と売上高伸び率の平均値を取ってみた。
一部意図的に表に乗せていない企業は、株価があまりに高過ぎて個人投資家には手が届かない、または上場してからの期間が短くデータの信頼性が著しく欠ける等の理由による。
銘柄名 | 平均ROE(%) | 平均売上高伸び率(%) |
---|---|---|
MAキャピタル | 29 | 52 |
日本商業開発 | 30 | 127 |
ヒューリック | 12.4 | 107 |
三菱商事 | 7.2 | 26 |
伊藤忠 | 15 | 26 |
日本M&A | 33 | 22 |
ストライク | 58 | 26 |
丸紅 | 9 | -1.3 |
住友商事 | 6.4 | -2.1 |
三井物産 | 8.3 | 1.2 |
テレビ朝日 | 4.4 | 1.2 |
フロンティア | 16 | 12 |
マーキュリア | 26 | 20 |
三井不動産 | 6.7 | 4.8 |
野村総研 | 12.2 | 5.6 |
三菱地所 | 6.5 | 3.5 |
シグマシステム | 23 | 9.6 |
ジャストシステム | 13.7 | 12.8 |
ベイカレント | 26 | 58 |
双日 | 6.6 | -6.4 |
オプトラン | 21 | 32 |
やはりMAキャピタル、日本M&A、ストライクといったM&A関連銘柄はROEが高く、売上高伸び率も高い。
この3銘柄の主要投資指標、業績予想を並べてみる(出所: Monex画面)
少し分析してみよう。
★予想PER
ストライクがこれら3銘柄の中で一番割安で予想PERは41.9。
次にM&Aキャピタルの35.3。
一番割高なのが日本M&Aの73.8。
★ROE
M&Aキャピタルは18.17%、
ストライクは35.97%。
ROE面ではストライクが最も利益率が高い。
★財務の安定性
自己資本比率は全て75%以上で財務の安定性は抜群。近い将来資金調達を行う可能性はこれら3銘柄は、ほぼ無い。
★トップラインの伸び率は?
業績予想面では、トップラインと呼ばれる売上高の対前年度比での伸び率は
日本M&Aは3.8%
M&Aキャピタルは18.2%
ストライクは11.7%
ここまでをまとめると、ストライクがPERが最も低く割安でありながらROEが最も高く、 トップラインの伸び率はM&Aキャピタルに次ぎ2番目。
下に各社のROE推移を載せておく。トレンドとしては右下がりで余り宜しくはないが、絶対値で見ると各社とも20%を超えており、収益性は高い。特に直近の2年は新型コロナの影響を受けた異常値なので、無視して構わないと個人的には感じる。
次に載せるのはトップラインの伸び率(対前年度比)。ここでも右肩下がりの形状だが、直近の2年は異常値。また右肩下がりではあるものの、伸び率が2桁というのは日本企業にしては立派。
M&A関連会社3社のトップラインの伸び率
投資対象としては魅力的だということがわかるが、ではどこで買い出動するかはチャートを見て判断するしかない。ちなみにこれらの銘柄を積立投資でコツコツ買っていくのはどうか、という考え方もあるがお薦めはできない。理由はあまりにも配当利回りが低いから。配当を原資に再投資という作戦が殆ど功を奏さないからである。
では、チャートを見ていこう。トレンドを見ていきたいので月足と週足チャートを掲げる
★日本M&Aセンターはまだ買い出動するタイミングではなさそう
2127 日本M&Aセンターは月足を見ると最高値から何となく下げ止まりの徴候が見られるが、週足では三尊天井を形成しそうな感じ。チャートを見る限り、買い出動するタイミングではなさそう。
★M&Aキャピタルは継続監視する価値はありそう
6080 M&Aキャピタルの月足、週足をみていく
M&Aキャピタルは月足では何となく下げ止まりの兆候が見られるが、週足では三尊天井を形成するか、しないかの瀬戸際。
判断しずらいので、バリュエーションを見ていくと過去4年間の平均PERと現在の予想PERが接近してきたので、継続監視をする価値はありそう。
★ストライクも継続監視する価値あり
ストライクの月足と予想PERの推移
ストライクも月足では三尊天井を形成する瀬戸際のような感じだが、下げ止まったようにも感じられる。
週足では、月足と同じく三尊天井を形成しそうなイメージ。
現状の予想PERは43くらいだが、過去の予想PERの平均より低くなっている。
この銘柄も継続監視する価値はありそうだ。
書くと長くなってしまうが、要はこれと思う銘柄の収益率(ROE)と売上高の伸び率、自己資本比率に代表される財務の安定性を確認し、あとは月足、週足チャートを眺めて予想PERの推移も確認しながら買い出動するタイミングを追求ことに尽きる。