2021年7月の日銀短観を見て感じた事を以下、記していきます。
メディアでは大企業製造業は4期連続改善で明るさが見え、非製造業では改善が見られるものの低水準という報道が殆どで、分析としては底が浅い
★製造業は全般に改善傾向が鮮明。対して非製造業で大幅な供給超過の状態が続く
今回の短観の中で「需給・在庫・価格判断」というのがある。下の表だ。
ここから分かるのは、
- 製造業加工業種で国内、海外とも需給バランスが劇的に改善したこと。3月の短観では極端な需要不足だった。特に海外分では明確な需要超過となった。
- 流通在庫判断では、やはり製造業加工業種で過大在はゼロという判断。
- 販売価格判断では、同じく製造業加工業種で「下落」が止まりゼロとなった。製造業素材業種、非製造業では販売価格を値上げする意向が読み取れる。
- 製造業は全般に改善傾向が鮮明になったが、問題は仕入れ価格判断で原材料価格の上昇が顕著になってきた事。これを上手く販売価格に転嫁出来なければ企業収益は悪化する。データを見る限り、部分的には販売価格に転嫁できそうだが、十分とはいえないようだ。
★効率化投資、研究開発投資は復調
その他目立ったところではソフトウェア投資を通じた効率化追求、研究開発に対する意欲は復調したという部分だろう。業種別では製造業のほうが非製造業より復調度合いが高い。
★人手不足が顕著になってきた
短観の中で「雇用判断」というのがあるが、どうも人手不足が顕著になってきたようだ。特に非製造業のほうが雇用は逼迫している。
★想定為替レートを見ると企業輸出は為替差益が出る状況
今回の調査での想定為替レートを見ると輸出企業では為替差益が出る状況となっている。
★外需が牽引する企業業績
「海外での事業活動」という調査項目があるが、それを見ると「海外売上高(計画)」は製造業、非製造業ともに海外で強気。特に非製造業がかなり強気なのが分かる。
ここからどのような投資のヒントを見つけ出せるだろうか? 色々なヒントがありそうです。