資産一億円への道 diary

資産一億円達成のための道しるべ

日本でも富める者と貧しい者の格差が広がっているというが

衆議院議員総選挙が近くなり、各党が選挙公約を掲げている。

 

★格差は広がっているのか? 選挙の争点の一つ

野党は「日本でも富める者と貧しい者の格差が広がっている。対策が必要だ」というがどうだろうか。「富める者と貧しい者の格差の度合い」はジニ係数というもので通常把握する。

 

ジニ係数とは

ジニ係数は、イタリアの統計学者コラド・ジニにより考案された所得などの分布の均等度合を示す指標で、国民経済計算等に用いられる。ジニ係数の値は0から1の間をとり、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示す。一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態となり是正が必要となると言われている。

 

当初所得ジニ係数所得再分配ジニ係数

日本の場合だが厚労省からデータが公表されている。データは2017年までで直近のコロナ禍を踏まえたものはまだ公表されていないようだが、一応参考にはなりそうだ。

 

www.mhlw.go.jp

 

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再分配後の所得格差の推移

 

このデータによれば当初所得ジニ係数は2017年で0.5594と、上記の定義「一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態となり是正が必要となると言われている。」に当てはめるとかなり格差は拡大しているが、所得再分配後のジニ係数は0.3721とかなり低く、世間で信じられているほどの格差はないように思われる。

 

第一生命経済研究所のレポートでも筆者の見解と同じような結論に至っている。

www.dlri.co.jp


アベノミクスは格差を増大させたか?

この第一生命経済研究所のレポートで興味を引くのは「アベノミクスは格差を縮小させた」という一般的な感覚と逆の説をデータを基に唱えていること。

 

アベノミクスの異次元金融緩和により極端な円高・株安が是正され、生産拠点の海外移転に歯止めがかかった。結果として就業者数が500万人近く増加し、低所得層の所得が底上げされた。」

 

「実際、2015年以降の海外生産比率は頭打になっている一方で、消費者物価指数も上昇に転じている。極端な円高・株安の是正による名目経済規模の拡大、女性や高齢者を中心とした労働参加率の上昇などが相まって、日本国民の稼ぐ力が誘発されたと考えられる。

こうしたことからすれば、巷で広がっているアベノミクスで格差が拡大したいう噂は誤解であり、むしろ貧困層の雇用・所得環境改善で所得格差が縮小に転じているといえる。」

 (同レポートより引用)

 

★格差が広がったのではなく、みんな貧しくなったのでは? という仮説

TVで経済解説者が図表を交えて説明していたが「格差が広がったのではなく、みんな貧しくなったのでは?」との説を披露していた。根拠は下の図。

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世帯所得分布の推移

この図のヤマを見ると世帯所得200万から300万の部分で1991年(グレーの折れ線)と2018(赤の折れ線)年ではヤマの高さが高くなっている。つまりそのような世帯が増えた。

また1000万から1200万のヤマも2018年は低くなっている。 つまり皆の所得が下がったということ。

 

世帯所得なので単身世帯が社会的に増えつつある、という状況を加味してグラフを解釈する必要があるが、それにしても、である。

 

これをジニ係数と絡めて考えると所得格差は再分配効果を考慮すると懸念するほどには広がってはいない。むしろ社会全体として貧しくなっている感が強い。

 

それを補強するデータとしては総務省の家計調査から導き出された次のようなグラフがある

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世帯別年収割合の推移 総務省家計調査より

これを見ると年収1500万以上の世帯割合は減り、年収200万未満の世帯割合が増えている。

 

★やはり経済のパイを大きくすることが優先されるのではないか?
今回の筆者なりの結論では、分配も大事だが経済のパイを大きくすることが優先されて然るべきではないのか、と思う