★不況下のインフレが近づきつつある?
日銀から5月17日に企業物価指数の統計が発表された。
消費者物価指数とともにインフレ率の判断に用いるが企業物価指数の方が公表が早いため、その速報性が高く重視されている。
原資料はこちら
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2104.pdf
ロイターの解説では、
「前年比は2カ月連続で上昇。
プラス3.6%のうち、寄与度は石油・石炭製品がプラス1.88%、
非鉄金属がプラス0.87%、
化学製品がプラス0.59%
となっており、これら3つの類別が大きく押し上げた形だ。
国内の需要動向を比較的反映しやすい鉄鋼、木材・木製品なども緩やかに上昇している。
744品目中、前年比で上昇したのは339品目、下落したのは289品目。上昇が下落を50品目上回った。「価格上昇の裾野の広がりがみられている」(日銀の担当者)という。
前月比で見ると、値はプラス0.7%と5カ月連続のプラス。
石油・石炭製品、
化学製品、非鉄金属、
電力・都市ガス・水道などが寄与した。
石油・石炭製品では「ナフサ」、「C重油」が3月から4月の国際商品市況の上昇、「ジェット燃料油」が3月のドバイ市況の上昇を受けてそれぞれ値上がりした。
日銀の担当者は「足元の原油価格はインドでの感染拡大を受けた軟化の動きや、欧米におけるワクチン接種の進展による経済再開の期待から続伸する局面もあり、不確実性が高い状況」とコメント。引き続き感染症が国際商品市況と国内需給を通じて企業物価に与える影響を見極めたいとした。」
ところで、原資料を詳しく見てみると
「需要段階別・用途別指数」という分析ページがあり、そこでは
「素原材料」が前月比3.6%増、
「中間財」は前月比1.4%増、
「最終材」は前月比-0.1%となっている。
素原材料とは第一次産業で生産された未加工の原材料や燃料で、生産活動のために使用・消費されるもの。木材・飼料用穀物・原油・鉄鉱石等だが、ここが一番増加率が高い。特に輸入品は前月比4.6%増にもなっている。
素原、中間、最終とも国内と輸入に分けて指数化されているが、全て輸入品の方が、上昇率が高い。
これが示唆することは、輸入原材料の高騰によるインフレが近い、という事。
無論、デフレ下の日本にあっては中々値上げは通りにくいが、ここで注目したいのは、価格支配力のある企業は例え単なる原材料提供企業、下請企業であっても値上げに踏み切る力を持っている、という事。
サプライヤー・テクノロジー企業とも言われるが、「この品質の原材料は、この企業にしか提供できない、この製品のこの部分は、この企業にしか作れない」という卓越した技術・ノウハウに支えられた企業は価格交渉力が強い事が多い。
そのような企業は「この値段で買ってくれないなら、それで結構。もう御社との取引は終わりですね」と強気に出られるのだ。
そのような銘柄は「世界(国内)シェアはトップ」「業界首位」「保有特許多数」などという文字が四季報の会社概要やニュース等で紹介されることが多い。
そのような銘柄の中で特に原材料分野に強みを持つ銘柄を研究すべきだ。特に製品の「値上げ」に踏み切る、という発表をした銘柄は時間をかけて研究する価値がある。
ネットで検索してみたら「株マップ」というサイトが検索できた。ここから各業界のトップ銘柄が検索できるようだ。非鉄金属業のトップ企業の例はこちら