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2021年3月26日のマーケット雑感 排出権取引価格の高騰と日本企業 

2021年3月26日の主要ニュースから

排出権取引価格の高騰と日本企業


2021年3月26日の本ブログで「化石燃料に頼る日本の電力事情」と題して化石燃料を多用している日本の電力事情は世界的な暖化ガス排出削減の流れの中で苦しい立場に置かれている、と書いたが、EU排出権取引価格が高騰しているという日経記事が一面トップに掲載された。

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日経記事

 

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グラフ

記事によれば、「欧州では排出削減目標の引き上げを受け、取引価格が昨年末より約3割高い水準で推移。日本も排出量取引を導入すると企業の負担が年2.6兆円に達し、今後も膨らむとの試算がある。導入しなくても欧米が検討する国境課税が実現すれば同様の負担が生じる。脱炭素を進める技術革新を急ぐ必要がある。」とのこと。

 

この「企業の負担が年2.6兆円に達し」というのは、「消費税に換算すると今より約2%増税になるのと同じ」との専門家の見解もある。企業のコスト増加は、何らかの形で消費者にしわ寄せが来るから、侮れない問題。

 

ちなみに排出量取引とは、各企業・国などが温室効果ガスを排出することのできる量を排出枠という形で定め、排出枠を超えて排出をしてしまったところが、排出枠より実際の排出量が少ないところから排出枠を買ってくることを可能にし、それによって削減したとみなすことができるようにする制度。

 

我が国では、まだ環境省経済産業省が検討を始めたばかりで何も決まっていないが、EUは「国境炭素税」を2023年までに導入する方針を固めた模様。同様の制度は米国も検討している。実現すれば、日本製品が欧米に輸出する度に追加コストを支払うことになりそうだ。

 

日本も50年の排出「実質ゼロ」を掲げ排出量取引の導入も目標に掲げたが具体的実現性となると、心もとない。コスト負担の拡大を回避して競争力を維持するには、脱炭素を加速するイノベーションの実現を急ぐ必要がある。

 

おりしもトヨタいすゞ日野自動車が提携を発表し、効率的な配送システムの構築に乗り出したが、日野自動車の下社長は「我々は自動車業界全体の4割の二酸化炭素を排出している」との発言もあり、これも脱炭素化の流れの一環。

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日野自動車社長発言